70億人のフォロワーの皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんわ。
金曜 岩本康平の ~ イワモトサロン ~ でっす!
毎週 金曜、岩本康平の心に突き刺さった モノ、コト、ヒト、ウタ などなどをお届けするジャングルジム的実験サロン。
時に美容師として、時に一人の男として、想いを紡ぐ プレイグラウンドとなっております。
さて、
昔、今熊さんと表参道を歩いているときに一台のポルシェを見かけたことがあった。
その時 地響きを立てて駆け抜けるその白い車を、今熊さんは「官能的なデザイン」と言われたことを覚えています。
うら若ささえあった頃の僕ですので 「 官能的 」という言葉が いまひとつぴんとこなかったのですが、年を重ねるごとに、なんとなくわかるように感じています。
先日、銀座へ香水を見に行ってきました。
僕は長いこと愛用しているものはあるのですが、先日見に行ったその香水というのが、前情報で金木犀の香りをそのまんま閉じ込めた感じということで、そこまで聞いていると確認せずにはいられなかったわけです。
ということで出掛けました。
お店を発見するまでにさんざ骨を折りましたが、到着すると小さな店内には今回の金木犀のものいがいにも、所狭しと 美しくてロマンティックな香水がしずしずと並んでいて感激しておりました。
早速 今回の no10 osmanthus をチェックしてみたのですが、なるほど、そこらの空気を一瞬にしてあの狂おしい切なさで満たすような香り。胸がざわざわしてきました。
間違いなく、名品です。
しかし、何かが物足りない。
そう感じていました。
この年になると、ピュアな香りとプラスもう一味何といいますか、スパイスというかエッジみたいのものがほしいなぁというところでありました。
考えてみると、そのもう一味というものこそ、官能的なものと呼べるエッセンスなのではあるまいか と考えておりました。
気だるさに満ちたモロッコの旧市街地。
この地へは東方からの熱風が吹きつける。喧騒と猥雑、花と果実などはまるで紅いカーテンのように舞い上がり呼吸する。善なるものの束縛を解き放つ熱風は、遠い過去に出逢った最も強い感情を呼び起こす。風の去りしあと。香りだけが 内なるざわめきを熱気のように残す。
なんだか、こんなやつが欲しいのだ と思うのです。
官能的~を深く考えるに、さてと辞書で引いてみれば性的欲望をそそるさま、とあります。
やはり性的な意味合いとは不可分だと考えられますが、しかしこの言葉。人それぞれに主観的な意味合いを多く含む語彙だとも思うのです。
これが肝だと 考えるのは、
うっとりしてしまう感じ。
といったところでしょうか。
ヘアデザインに置き換えてみますと、官能的なヘアデザインは、
グラマラスな曲線やフォルム、なめらかなライン、触りたくなるような質感。
そして、その人のことをもっと知りたくなるよう魅惑さえも その髪型に宿っているということでもあると思うのです。
うっとりしそうですよね。
時を経て、今ふたたび「官能的なデザイン」について考えています。